■■ 五剣山 375m(高松市・庵治町)  ■■
この冬の里山歩きのテーマを二つ決めていた。
一つは「ぐるっと志度町」と銘打って地元の志度町の周りにある山を縦走すること。
もう一つは我が母校の校歌にも歌われた「五剣山」に登ること。
その五剣山に日曜の午後から時間が空いたので、チャレンジしてみることにした。
(香川の里山は、こんな感じで手軽に登れるので・・・。)
車を八栗ケーブルの駐車場に停めて、身支度を済ませて、ケーブル駅横の参道をスタート。
レトロな雰囲気のケーブルカー 春の山を登っていく
コンクリートの参道は、最初から結構な勾配で、いきなり息が切れ始める。
途中すれ違う人達に挨拶をしながら登っていくと、参道が大きく左に曲がる場所に石仏が。
その頭上には、これから登る五剣山が1707年の地震による崩落で落ちてきた巨大な岩の塊が!
そこからしばらく歩くと、両側に並ぶお土産屋の間を通り、八栗寺の山門を潜る。
5峰崩落で落ちてきた巨岩 山門からは霊場らしさが漂ってきます
見上げると本堂の上にこれから登ろうとする五つの峰が、で〜んと構えていた。
土曜日の午後のせいか、お参りしている人の姿はほとんどなく
社務所の前を、ザックを担いだ姿で通るのに、少し緊張した。
なにせ、これから向かうのは入山禁止の山。
社務所の人の視線を気にしながら、一応本堂にお賽銭を上げ、参拝者のふりをする!
見上げると、これから登る峰々が大きく見える
本堂左横にある石段を登ると、天狗が祭られているという中将坊拝殿に着く。
(金毘羅山の金剛坊・白峰山の相模坊と供に、讃岐三大天狗の内のひとつ)
拝殿手前の石段の脇には、フェンスが建てられ「立入禁止」と赤い字で書かれている。
その昔は、大勢の人達が五剣山の峰々を巡っていたというが
鎖や梯子を使っての厳しい道に、事故も多く、今は入山禁止となっているようだ。
その中将坊拝殿の左横に、荷揚げ用のリフトのレールがあり、そのレールを潜ってた
先には道が続いている。ここには立ち入り禁止の札もかかっていないので
遠慮なく歩いて行ってみることにした。
荷揚げ用のモノレールの下を潜る 台風による地滑りで道が分断されている
しばらく歩くと一昨年の台風によるものか、斜面が大きく崩れていた。
崩落斜面を間近に見ながら手前を登っていくと、踏み跡が分かれている。
右に行こうか左へ登ろうかと
迷いながらも、とにかく上へ上へと登っていくと、中間部分の道に出た。
五剣山の中間部分を東西に(予想では)続いている道らしく。これを一端東に歩いてみる。
頭の上に大きな岩肌が表れ、それを過ぎると苔生した岩に次々と雰囲気のある木々が・・・。
さらに上部を目指して歩くと、今日、一番目の鉄の梯子が架かっていた。
苔生した岩の間を歩いていく 初めての鉄の梯子
一つ目を登ると、直ぐに二つ目の梯子が架かっている。
その間には太いロープが架けられていて、急な斜面をなんとか登って行く。
二つ目の梯子を登りきると、1峰と2峰の鞍部に出る。
そこからはしっかりとした道が続いているので、まずは西の端の1峰まで歩いてみる。
この梯子を登ると1峰と2峰の鞍部 五剣山西端に祭られた蛇の石仏!
木々も疎らになり明るくなってくると、石の祠と石仏が現われる。
そこを過ぎてさらに進むと、岩の上に祠が。その中には今まで見たことのない石仏が!
どくろを巻いたへびが2体、さらにはどくろを巻いた体に顔が少女の石仏。
その祠の先が、五剣山の最西端の地。足元に庵治の石切り場と女体山。
その向こうに壇ノ浦を挟んで屋島が横たわっている。生憎の薄曇だが来た甲斐があった。
久方ぶりにシェーのポーズを決めてみるが、ぎこちない、情けない。
完全におっさんやないですか!(マーシーさんには土俵入りと言われた)
どくろを巻いた石仏 土俵入り?と言われてしまったシェー!
元来た道を戻り、先ほどの石祠の広場がどうやら1峰のピークのようだ。
「八大龍王」と書かれた石標。ここでもやはり雨乞いのお祈りがされていたんだ!
1峰から2峰までは快適な道。写真を撮りながらのお散歩コース。
2峰のピークにもメインの祠とその周りに小さな祠が並んでいる。
祠の裏にある標識には366mと書かれていた。
朽ちた八大竜王の石祠 2峰の手前。歩きやすい道
山頂手前の祠 少し控えめに祠の後ろにあった標識
この2峰の祠は、今回の五剣山のピークそれぞれにある祠の中では一番大きかった。
祠というよりは社殿といった雰囲気で、思わず手を合わせていた。
この2峰からは崩れやすそうな箇所に鉄橋が架かっていて
それを渡り岩肌の小ピークを登ると3峰山頂。(白滝大権現)
金剛蔵王権現の祀られた祠 3峰に向かう途中の鉄橋
さらに進むと この縦走路で一番の痩せ尾根(肩幅ほど)を歩いて行く。
痩せ尾根を過ぎると今日の最高点(375m)の4峰のピークに到着した。
この山頂にも祠や石仏、石碑がたくさん置かれている。
北を覗けば庵治の竜王山と遠見山の向こうに小豆島が見える。
今回の峰の中で一番狭いやせ尾根 不動明王の祀られた4峰
中央が竜王山。その左に遠見山と瀬戸内海を挟んで見える小豆島
さらに少し西に歩くと5峰を見下ろせるテラスに到着した。
ここで初めて腰を降ろしてコーヒーを飲む。
5峰越しに志度湾の景色を眺めていると、向こうのほうから声が聞こえてきた。
そのうち5峰のピークに人影が現われた。ご夫婦のような雰囲気がした。
カップのコーヒーを飲みながら、大きく手を振ると、向こうも気づいてくれて
手を振ってくれた。でも声を出して呼びかけはできない。
なんせここは入山禁止の山。こんな所で「ヤッホー」なんて言うものなら
おそらく社務所まで聞こえてしまうだろう。
石のテラスから見た5峰
この4峰から5峰への鞍部が今日最大の難所だった。
コーヒーブレークのテラスから、南に一端20段ほどの梯子を下りて
さらに東に回りこむと、本日最長の梯子が待ち構えていた。
テラス直下にある梯子。ここから梯子の連続
この鎖の横には、上のほうからブランコの鎖?が下りてきている。
途中に所々吊り輪の輪があるけれど、こんな鎖を修行僧や山伏の人たちは
登ったり下りたりするのだろうか。面白がってもぶら下がって見ようなどという
気もおこらないくらい、本当に垂直に垂れた鎖だった。
凡人は横にある梯子を下りるだけでも結構応えた。
垂直に取り付けられた鎖 セルフタイマーで撮ってみる
今回の中で一番ながかった梯子とその横に鎖。ここを下りきると奥の院
その長い梯子を降りきった横にある岩屋の奥が、八栗寺の奥の院となっている。
仏前には真新しい花が供えられている。おそらくお寺の人は頻繁にお参りに登って来ているのだろう。
岩屋の上に架けられたポリカの波板が、この霊域には何だか似合わない。
それでも、こんな庇を作っているのは、雨の日でも参拝する人がいると云うこと。
霊場に不似合いなポリカの屋根 お寺の人がここでお参りしている様子
奥の院からは最後の5峰を目指す。1707年の地震の際、にそっくり削げ落ちたように
水平にピークが無くなっている。
振り返ると、4峰直下に大きく岩肌が見える。長く垂れ下がった鎖と梯子も・・・。
5峰の西端付近は岩峰で周りに遮るものがない。
見下ろすと八栗寺の境内が丸見え。と、云うことは下からも丸見え?
セルフの撮影も、何だか下からの視線が気になり、ソソクサと済ませる。
少しでもよろけると滑落しそうな幅しかなくその両側はほぼ垂直にキレ落ちている。
見下ろすと八栗寺の全景が見える 下から見ても目立たないように写真を撮る
5峰の中央部分。強風でよく飛ばされないなと思う祠
5峰の西から東へは吊尾根。途中に1箇所と東端に祠があった。
東の端から、一端北側に下りてみるが全く降りれそうな雰囲気ではなく
南に回りこむと、降っていく道があった。
振り返ると5峰の小ピークから垂れた、フィクスロープと鎖が見える。
東に向かってどんどん降りていくと分岐に出た。
そのまま東に進むと、おそらく源氏ケ峰の方へと行けるようだ。
この分岐を右に折り返し、高度を下げていくと、5峰の下部でブロックで塞いだ岩窟にでた。
その上部は今にも崩れそうな岩肌。風化した隙間には無数の石仏が並んでいる、独特な空間だ。
5峰の東端 弘法大師が修行したという洞窟
今でも崩れそうな5峰の南壁 風化跡にも幾つもの石仏が祭られている
その異空間を通り過ぎ、西に向かって歩いていく。
右側に4峰と5峰の鞍部に向かって延びる梯子が見える。
ここから直接奥の院へと行けるようになっているのだろう。
最後は裏参道辺りに出れるのかと思いきや、
スタート地点の中将坊の立入禁止のフェンスの裏側に着いた。
拝殿から本堂に下り、社務所の前を足早に通り過ぎ、山門から振り返ると
やはり圧倒的な圧力で岩峰が迫っていた。
車を停めた駐車場に着いたのが、スタートから2時間半。その僅かな時間で
しかも高松の市内というロケーションで、これだけの迫力を見せ付けられる山は、
この五剣山を置いて他にはないだろうと思った。
長年の思いが叶った今回の里山歩き、想像以上のすご〜い里山でした。
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