■■ 本宮山(東かがわ) 346m  ■■
kyoさんのHPで興味深々の岩を発見。急遽予定を変更して本宮山に登ることに。
上手くいけば本宮山から笠ヘ峰への縦走も・・・、などと安易に思ったのが間違いの元。
水主のコミュニティーセンターはkyoさんのレポートに載っていた一年前とは豹変。
昨年の台風でセンターの前の笠松川が決壊・氾濫して、
センターは見るも無残な姿になっている。
(以前ののどかな風景はkyoさんのページをご覧下さい!)クリック!
取りあえずセンターに車を停め出発。
登山靴が埋まるほどの土砂の中を暫く歩くと左に砂防ダムが見える。

見上げると南に山並みが見える。(この山を本宮山と思ったのが間違いの始まり)
kyoさんのレポートにあった、砂防ダムの下の看板前も道路が陥没していた。
ダムの右が登山口。落ち葉が積もる道をゆっくりと歩く。
登山道からしばらく急登、小さい尾根を右に巻き込み、尾根に出ると沢筋に出た。
しばらく歩くと登山道が分断されていて、本来なら右岸に沢を渡ると正規のルートだったのに
何を勘違いしたのかそのまま左岸を歩き、道がなくなってしまった。
仕方がないので沢に降りて、暫くは沢登りの気分で進んでみる。
沢登りも結構面白いなどと余裕をこいていたのも束の間、
大規模土石流の跡で立ち往生してしまった。
山は正面に見えるので、そこから左岸の尾根に向かって登ることにした。
でも目標の山が全く違う山。勘違いしながらも、藪コキもなんのその、
その内登山道に出るだろうなんて、軽い気持ちで進む。
でも藪といううより獣道を進み始め、立っては歩けなくなってきた。
とうとう獣と一緒で四つん這いで進まなければならないように・・・・。
恐ろしや、思い込み!。
一山越えても、次のピーク、また一山越えてもピークが現われる。
一時間の藪コキ悪戦苦闘で、ちょっとしたスペースがあったので一息いれる。
この時点でもまだ、目標地点を誤っているのに気づかない。
いくつもの思わせぶりのピークでかなり疲れてきた。
しかもこんな予定ではなかったので手袋もしていない。
にぎったトゲに思わずギャーと、何度も悲鳴をあげる。
ザックの上部が引っかかったり、股に蔓が絡んだり、その度オット!と声が出る。
2時間半で、目標地点らしき?尾根に出ることできたが、そこには期待していた
立って歩ける登山道が見当たらない。
ここで初めて山を間違っていたのに気づき愕然とする。
北を見ると展望が開け水主が見える。本宮山の標高よりかなりの登ってしまっている。
だんだんと不安になってきたが、幸いに所々で水主が見えるので
いざとなったら直滑降と決め、右下に見える尾根を目指してみる。
南には晴天のもと阿讃山脈がとても綺麗に見える。
聞こえるのは鳥の鳴く声と風の音。
藪コキも随分と慣れてきたし、朝まで鈍痛のあった腰も、
体が非常事態を感じているのか、それどころではないといった感じで痛みがなくなっている。
フェイクの枯れた木に騙され、掴んだ途端に折れて、足を滑らしたり
枯れたシダの中に足を入れた途端に腰まで埋もれてしまったり
悪戦苦闘しながら次第に高度を下げていく。
潅木を潜って四つん這いで歩いていると、突然「ブ・ヒッ!」と鳴く声がして
前を見ると猪がお尻を見せて、慌てて逃げていっている。
そりゃ、この道はもともと猪さんたちの道。
人間が四つん這いで現われたら、向こうもびっくりするだろう!
この下りの尾根でも、崩落箇所が何箇所もあり
沢登・藪コキのあと、ミニ・ロッククライミングで降りる。
崩れた大きな岩の上でおにぎり一個頬張るが、念のため残りの一個は残しておくことに。
東には虎丸山が見えた。
この崩落箇所から両手両足を使って尾根に出ると
今までよりは格段に快適な藪コキとなる。
なんとなくいままでとは雰囲気が違っている。(これが本宮山から笠ケ峰へのルート?)
だんだんと藪の隙間が大きくなってきた。オッ!手袋が落ちている!
もしやと思って少し歩くと、突然巨岩が現われた。
ひょっとして?と北側に回りこんでみると、これが今日の目標の「くじら岩」。
本日の最高到達地点が見える
出ました「クジラ岩!」あなたに会いたくて四時間彷徨いまし!
でもこのアングルからは本当に鯨に見える。
手足・顔傷だらけでここまで歩いたかいがあった!
ここからは本来の登山道を快適に下る。
途中で三叉路になっている所は、やかんと赤テープの付いた中央の道がルート。
沢での分断箇所は、右岸に渡ってが正規のルート。
一番最初に、目標とした山が間違えさえしなければ、
下山時間は約20分のなんでもない道。
それにしてもコミュニティーセンター周りは、
まるで砂漠を歩いているような気分になるほど、流れできた土砂が溜まったまま。
台風当日の住民の人たちの、恐怖心は思い図りしれない。
里山もそろそろ、ニョロニョロさんが出始める季節。
これからは歩く山を選択しないといけない時期になりつつある。
獣道を彷徨った四時間、貴重な体験をした一日だった。
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